安全潜水を考える会

2006年11月19日 (日)

第9回 安全潜水を考える会 研究集会に参加して

【安全ダイビング】スキル/器材 数年ぶりに参加してきました~

講演内容について簡単にですが報告しておきます。

・厚生労働省の標準減圧表の改定
今は90mまで空気潜水できる事になっているそうで実情にそぐわず危険なため
来年の3月までに改定を厚生労働省に申請する。
ただし認可には早くて3年ぐらい掛かるだろうとのこと。
主に作業ダイバーに関係しますが、空気潜水は40mまでという制限になるため
インストラクター・ガイドなど潜水士の資格を持つ人も対象となる。

・自覚症状のない減圧症神経障害
医科歯科大学で診療を受けた減圧症患者のうち自覚症状の有無に関わらず
全身を調べたところ自覚症状のなかった部分にも障害が認められた例が
60%近くあった。
このことから考えると、自覚症状がなく診療を受けていない人にも
減圧症罹患患者がいる可能性がありそう。

・危険性の高い潜水プロフィール
ガイドダイバーや減圧症罹患患者の潜水プロフィールを調べたところ
各組織(9組織)ともM値から10%以上のマージンはあり
プロフィール的には安全と思われる。
レジャーダイビングでは40分組織のM値のマージンが一番低くなる傾向にあり
ここがM値の80%を超えると(マージン20%を切ると)減圧症罹患の危険性が高まる
可能性がある。

・来年について
安全潜水を考える会が10周年、DAN JAPANが15周年を迎え
国際DAN会議が東京で開催されるため、アメリカやヨーロッパのDAN幹部を招いて
安全潜水を考える会の中で発表をしてもらう企画を考えているとのこと。

第9回安全潜水を考える会 予稿集

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2006年6月13日 (火)

第8回安全潜水を考える会 研究集会 発表集の目次

【安全ダイビング】スキル/器材

1.潜水事故防止と安全潜水 眞野 喜洋(東京医科歯科大学)

2.軽症減圧症患者の診療上の問題点について 外川 誠一郎(東京医科歯科大学)

3.整形外科疾患と減圧症症状 柳下 和慶(東京医科歯科大学)

4.「減圧障害治療後のダイビング復帰プログラム」について考える 山見 信夫(東京医科歯科大学)

5.静岡県におけるダイビング事故の状況と安全対策 名倉 克己(静岡県警察(元スキューバ潜水隊))

6.職業ダイバーの潜水プロフィールと窒素ガス溶解量 芝山 正治(駒沢女子大学)

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2006年6月 7日 (水)

整形外科疾患と減圧症症状(第8回安全潜水を考える会 研究集会 発表集)

【安全ダイビング】スキル/器材 整形外科疾患と減圧症症状

柳下 和慶
東京医科歯科大学医学部附属病院 高気圧治療部 整形外科 講師

はじめに
 減圧症では神経症状や関節症状を呈することが多く、整形外科的疾患と減圧症による症状とを鑑別することは、決して容易ではありません。

 今回、減圧症の症状と同様のもしくは類似の症状を有する整形外科的疾患を広くご紹介し、あわせてその治療の概略についても紹介します。それにより、減圧症と整形外科的疾患の理解を深めていただくことを目的とします。

減圧症は、主に下記の通りにI型・II型に分類されます。

I型
○ 皮膚症状(大理石班など)
○ 四肢の関節痛・ベンズ型
○ 浮腫・むくみ・倦怠感

II型
○ 脊髄型(CNS型):知覚・運動障害 膀胱直腸障害など
○ 脳型:意識障害 痙攣 片麻痺 脳神経症状など
○ 肺型(チョークス):胸痛 咳 息切れなど
○ 内耳型:めまい、耳鳴り、嘔心、嘔吐、聴力障害
○ その他

整形外科領域と関連する症状は、I型では四肢の関節痛・ベンズ型、II型のCNS型があります。

<<脊椎・脊髄について>>(写真1)
脊髄型の症状:知覚障害、運動障害、膀胱直腸障害
脊椎:骨組織。頚椎 7個、胸椎 12個、腰椎 5個
脊髄:神経組織。脳神経同様中枢神経。
椎間板:脊椎と脊椎の間にある、クッション。周囲にある線維輪と中心にある髄核から構成(写真2)
神経根:左右対称に脊髄から分節して抹消に分布する末梢神経

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2006年5月31日 (水)

職業ダイバーの潜水プロフィールと窒素ガス溶解量 -減圧症の予防-(第8回安全潜水を考える会 研究集会 発表集)

【安全ダイビング】スキル/器材 職業ダイバーの潜水プロフィールと窒素ガス溶解量 -減圧症の予防-

芝山 正治
駒沢女子大学 教授・東京医科歯科大学 非常勤講師


1.はじめに

 減圧症発症は、窒素ガスの溶解に伴い、浮上時の不活性ガスの過飽和による気泡化が原因である。レジャーダイバーの減圧症発症は、東京医科歯科大学に受診した患者数で年間300名を超えた状態が続き、急増している現状である。

 レジャーダイバーが減圧症を発症した時の潜水プロフィールは、今までに考えられなかった浅い水深と時間によって罹患しているケースが多い。この潜水プロフィールは、ほぼ全てのレジャーダイバーが通常の潜水パターンとして潜水しているプロフィールであることから、減圧症に対する基本的な考え方を変えなければならない状況ともいえる。

 減圧症で治療を受けたレジャーダイバーの潜水プロフィールは、最大水深、平均水深、潜水時間などを問診によって確認されている。このデータと実際のレジャーダイビングのプロフィールを調査収集し、新しく開発したシステムを利用して、体内窒素ガス溶解量と減圧症発症率の関係を調べ、減圧症発症に至る危険度の批評を数値化し、改めて減圧症発症予防の手掛かりとすることが本研究の目的である。

 今回は、2年間の1年目の成果としてまとめる。システム開発したプログラムは、平均潜水と潜水時間から体内窒素ガス溶解量を求めるものに止まり、次年度はマルチレベルが認識可能なプログラムを利用しての評価とする。

2.減圧症の発症率

 減圧症罹患率は、レジャーダイバーで2%、インストラクターなどの職業ダイバーで6%であることが調べられている。経験タンク本数に換算すると16,000本に1回の罹患となっている。漁業潜水者は地域により異なるが、30~70%のダイバーが減圧症の罹患経験者である。

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2006年5月21日 (日)

静岡県におけるダイビング事故の状況と安全対策(第8回安全潜水を考える会 研究集会 発表集)

【安全ダイビング】スキル/器材 静岡県におけるダイビング事故の状況と安全対策
                               
名倉 克己
静岡県警察・TDI・ADS所属

静岡県警察潜水隊を長期に渡り職務していた関係で、多くの潜水事故に係わってきた。本テーマは、静岡県における多くのダイビング事故の中で、死亡事故に至ったケースについて紹介する。

1. 大瀬崎潜水条例

 表1は、1996年に制定された大瀬崎潜水条例である。伊豆地方でダイビングの事故が多いことから、1985年に各指導団体が集まり安全対策協議会(安対協)の会議が行われた。大瀬崎でダイビングを行うダイバー数は多く、事故も比例して多い現状にある。事故対策のために静岡県警がプロジェクトを作り、水上安全条例を現実化した。しかし会議の席上ダイビングショップ、サービス、指導団体が集まり自助努力で潜水事故を減少させる決議をしたため、県条例を大瀬崎に縮小したエリアルールの作成を行ったのが、1996年である。

 表1の6条の2項は、安全潜水が期待できないショップ、クラブ、指導団体は、警察や海上保安庁に通報することになっている。いわゆる協力要請である。第13条は、ショップ、クラブ、指導団体に潜水を自粛するようお願いする、という厳しい内容である。

           表1 大瀬崎潜水条例(エリアルール)
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第6条2項・・・安全な潜水が期待できないおそれがある者、他人に危害・迷惑を行う者を認めたときは警察署・海上保安部の関係機関に通報するものとする。

第8条2項・・・大瀬崎潜水協会・現地サービスは安全な潜水が期待できない潜水者・ガイド・インストラクターを認めたときは適切な指導・助言を行うこと。またその者が所属するショップ、指導団体、クラブに対して安全潜水が期待出来ない旨通知し、安全潜水を指導するように協力要請するものとする。

第13条・・・・大瀬崎潜水エリアで度々事故を起こしたり危険な潜水を繰り返し安全が期待できない者は所属する指導団体・ショップ・クラブに対し潜水を自粛するように要請するものとする。
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2006年5月18日 (木)

「減圧障害治療後のダイビング復帰プログラム」について考える(第8回安全潜水を考える会 研究集会 発表集)

【安全ダイビング】スキル/器材 「減圧障害治療後のダイビング復帰プログラム」について考える

山見信夫
東京医科歯科大学医学部附属病院高気圧治療部

1.はじめに

 減圧症罹患後にダイビングを続けたいと希望されるダイバーは多い。しかし、一方では、再発に対して不安を持っている方も多い。再発を予防するために、または、再度減圧症にかかったとしても、それほど重症化しないように「減圧障害治療後のダイビング復帰プログラム」を作成した。今回は、その復帰プログラムについての話題を提供したい。

2. 再発者が全受診者の約 16 %

一度減圧症にかかったダイバーは、完治しても、減圧症に再度かかる確率が高い。私た
ちの治療部を受診される減圧症の約 16 %が再発のダイバーである。外来で、患者さんと話をしていると、おおよそ、経験タンク本数が 20 本くらいまでの方が減圧症になった場合、ダイビングに復帰することが少ない。一方、100 本以上、経験していると、多の方が復帰を希望される。減圧症の重症度については、複数回かかったときのほうが、一般的には治りが悪く、後遺症も残りやすい。復帰する時期については、減圧症の一連の治療 (高気圧酸素治療) が終了し、症状が完全に消失してから半年が経過してからとしている。たとえば、アメリカ海軍のマニュアルには「 6ヵ月目からダイビングは可能」と書かれているが、私たちは安全率を見込み、患者さんたちがわかりやすいという観点から、 1 ヶ月ほど延長して「6 ヶ月が経過してから復帰」とアドバイスしている。

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2006年5月14日 (日)

軽症減圧症患者の診療上の問題点について(第8回安全潜水を考える会 研究集会 発表集)

【安全ダイビング】スキル/器材 軽症減圧症患者の診療上の問題点について

外川 誠一郎(東京医科歯科大学 高気圧治療部)

 今日発表する内容は、重症減圧症は診断が比較的容易で治療法も確立されたものであるのに対し、軽症の減圧症の診断は極めて難しく、さらに治療法も確立していないことが国際的にも問題となっている現状を、純粋に医学的見地からお話しようと思います。

 本日の内容は、去年シドニーで行われたUHMSという国際医学会の中での開催されたワークショップのものです。私個人の意見はなるべく排除しお話しようと思います。

          Australia Sydneyでのワークショップ
        -------------------------
          1.軽症減圧症とは
          2.軽症減圧症で高気圧酸素治療は必要か
          3.治療開始の遅れと予後
          4.減圧症の診断方法は(減圧症を除外する基準)
        -------------------------

 まず始めに、なぜオーストラリアで開催された学会でこういう内容が話題になったかをお話しますと、オーストラリアは大変広い国ですから、減圧症は全て緊急に治療すべきだとすると患者さんの移送などの面で大変な負担が生じます。軽症で緊急治療を要しない減症患者を識別して、費用や時間等の社会的面からも最善の方法を検討しようという趣旨で検討された内容です。

今回話す内容は、軽症の減圧症とはどのような定義なのか、軽症減圧症では緊急の高気圧酸素治療が必要か、治療開始の遅れとその予後がどうなのか、軽症減圧症の診断方法はどういうものなのかということです。

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2006年5月 9日 (火)

潜水事故防止と安全潜水(第8回安全潜水を考える会 研究集会 発表集)

【安全ダイビング】スキル/器材 潜水事故防止と安全潜水

眞野喜洋(東京医科歯科大学大学院健康教育学講座兼 医学部附属病院高気圧治療部 教授)

1.はじめに

 安全潜水の事故防止を目的とした調査報告は、平成17年度にDAN JAPAN(海洋レジャー安全振興協会)がまとめたものがある。この調査の対象は、潜水指導団体25、ダイビングのリゾート地214箇所、インストラクター3,434名、一般のレジャーダイバー13,398名であり、調査規模として大きいものである。この調査結果は、2005年9月にローマで開催された国際DAN会議で発表された。調査内容を今回のテーマとして発表する。

 発表の前に、大切な情報を提供します。都立荏原病院の脳神経外科部長の土井先生からである。その内容は、関西地区ではレジャー ダイバーの減圧症は治療しない傾向である、と言う情報である。この傾向は、我々のところにも少しずつ感じられていました。関西地区の名古屋においても同じような傾向になっているようである。何故このような結果になったのかを含め進めていく。

2.Cカード取得ダイバー数の推移

Photo

 図1は、1984年以後のCカード発行枚数の推移を示したものである。当初、約1万枚程度だったものが、累積で2003年では、130万枚のカードが発行されたことになる。毎年の発行枚数は、最近停滞気味だと言われていますが、1万枚近く発行されている。増加率 は少ないか、停滞しているが、それなりに新しいダイバーが加わっていることは確かである。Cカードを取得するエントリーレベルの年齢構成は、DAN JAPANの調査で、40歳以上のいわゆる中高年層の取得割合と若年層の20歳未満が増えていることがわかった(図2)。若年層の増加理由は、小・中学生の水と親しむ機会が増え、シュノーケリングの普及が増加の要因の一つとなっていると思われる。

Photo_1

 我が国の平均寿命は、戦後の昭和20年から伸び始め、昭和27年に50歳を突破し、昭和40年代に60歳を突破し、現在は、女性は84歳、男性78歳と伸び、90歳を超える人口が100万人を突破した。平均寿命が延びたことで、時間的にゆとりができ、その時間をど うやって有効に使うかという一つの選択肢の中に、レジャーがあり、レジャーの中のスクーバダイビングも含まれることになる。ダイビングは、やり方によってはそれほど大変なレジャーではない。60歳以後のセカンドジェネレーションの時代をどうやって過ごしていったらいいかというような時に40歳過ぎてからダイビングを始める人が増えてきも不思議ではない。この傾向はアメリカ型の形態である。

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